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レースレベルで見極める(L)の価値/丹下日出夫

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は昨年のダービー馬・ワグネリアンの全弟や、オールドファンには嬉しいメジロドーベルの仔らが登場。また今年から導入されているリステッドレースは、東京1400mで開催されたクロッカスS。そのレースレベルはいかほどに?(※評価はS〜Eの6段階)


■サトノラディウス(牡3・ディープインパクト×アーヴェイ)

26日(土):京都10R・梅花賞(500万下)/芝2400m/2分29秒3

 母は英3勝、愛・GIIIに、北米に渡りフラワーボウル招待Sで芝10F・GI勝ち。一番仔から兄姉たちを見てきたが、小さかったり、気が強かったり、かと思えば逆に、5番仔の本馬は494kgと大柄。東京で上がり33秒4が使え、中山の葉牡丹賞を1分59秒8で3着したが、跳びは大きく、もっと距離が欲しいかも。

 国枝厩舎にはほかに、「サトノ」の冠がつくクラシック有力候補がいるため、適性を想い2400mの京都へ遠征。長丁場、小頭数に典型的なスローの上り勝負となったが、11秒9-12秒3-12秒5(3Fは36秒7)を、根気強く上り36秒3で差し切り勝ち。次走9〜10Fを一度試すかもしれないが、春の最終目標はダービー参戦。【評価D/適性・芝2400m】


■ピンシェル(牡3・ルーラーシップ×メジロドーベル)

26日(土):東京5R・3歳未勝利/芝2400m/2分27秒6

 母メジロドーベルは、オークス、秋華賞、エリザベス女王杯優勝。祖母はメジロビューティー、その母メジロナガサキ、メジロボサツへと続く牝系は、現代日本競馬の歴史。ワタクシも、井崎脩五郎さんも、女房のお義父さんも、競馬トモダチはみんな、メジロの牝系とともに歩んできた。

 なんて、勝ってなお「長い目で見てやってほしい」という横山典Jのレースコメントにもあるように、贅肉が多く体型は子供。ただ、母も桁違いに調教は動いたが、息子のピンシェルもデビュー前から、今の時代では珍しい、坂路3本追いを敢行。いつも上り3Fは37秒台、終いも12秒台でまとめてくる。

 ここの坂路時計が能力のよりどころとなり、将来の布石にもなると思っていたが、今日は早めの競馬を試みていると言っていた通り、1000m通過・61秒4というスローを、逃げ馬の脚を勘定に入れながら3番手。2000m通過は2分2秒8、上り3F・11秒8-12秒2-12秒6(36秒4)というレースの上りを35秒2で、懸命にもうひと伸び。レースレベルの評価はD、でもなんだか嬉しい。

 古馬となりアルゼンチン共和国杯やステイヤーズSや阪神大賞典を使いながら、再来年の天皇賞(春)を目指して頑張ろう。【評価D/適性・芝3000m】


■ディキシーナイト(牡3・ダイワメジャー×カメリアローズ)

26日(土):東京10R・クロッカスS(L)/芝1400m/1分22秒2

 1400m短縮はどうかとも思ったが、ダイワメジャーの仔。前走の中山は、マーフィーをもってしても、直線モタれてしまった。

 今回はハミを工夫したとも聞く、左回りもあっていたのだろう。ジュニアCを1分34秒0で走った経験を活かし、11秒7-11秒0-11秒5(3Fは34秒2)というレースラップを33秒6でひと差し。東京コースならマイルでも走りはブレないように思う。

 ただ、時計は1分22秒2、可もなく不可もなし。リステッドレースは、レースレベルはA評価もあれば、クロッカスSのようにCレベルも多い。【評価C/適性・芝1800m】


■アイワナビリーヴ(牝3・ジャスタウェイ×ワナダンス)

27日(日):東京6R・3歳新馬/芝1800m/1分48秒9

 母はアルゼンチン4勝(1200ダートGIなど)。一番仔アイワナシーユー(父ステイゴールド)は、5戦して未勝利。父がジャスタウェイにかわり、性格は素直。年明けデビューながら、462kgのスカッとした好馬体。道中馬込みで我慢が効き、マーフィーがひと追いするとギアを一段上げ、34秒3というレースラップを、ブレのないフットワークで、34秒0で差し切り勝ち。同日のセントポーリア賞に0秒7遅れだが、1分48秒9も上りラップも初陣とすれば上出来。

 距離は2000mまでだろうか。ただ、3歳春は2400mくらいは大丈夫。桜花賞となると、かなり日程がハードになるが、オークス一本なら出走権は取れそうですね。【評価B/適性・芝1800m】


■カントル(牡3・ディープインパクト×ミスアンコール)

27日(日):東京9R・セントポーリア賞(500万下)/芝1800m/1分48秒2

 あれ、オジュウチョウサンほどではないが、黒い大きなチークピーシーズをつけている。そうか、新馬戦は暴走気味の逃げ、二戦目も鞍上の指示と始動にタイムラグがあった。パドックでも頭を上げてたまにキョロキョロ、少し気性は子供だ。シルエットは全兄のワグネリアンとほぼ同じ、品のよさや肌艶の感じは兄のほうが好きかもと思うが、1000m通過・1分1秒9というスロー、離れた三番手を悠々、11秒1-11秒0-11秒6(3Fは33秒7)というレースラップに対し、自身の上りは33秒3。1分48秒2という走破タイムも含め、レースに瑕疵は少なし。

 ダービーまで、精神ともに一段階段を上がった兄の背中を、弟もたどる。【評価B/適性・芝2000m】


■ユニコーンライオン(牡3・No Nay Never×Muravka)

27日(日):京都6R・3歳新馬/芝1800m/1分50秒1

 タタソールズ10月セールで85万ギニー(約1億3000万円)。脚長でスラっと見せるが、540kgもあるんだ。大きく造りが難しいからデビューも延び延びになってしまったのだろう。しかし、巨体をゆすって坂路で好時計を連発。ソツなく好位にとりつき、さあどのくらいぶっちぎるのかなぁと思ったら、上っ面をあげフラフラ。重めでヨタヨタはしたものの、ゴール前走る気を取り戻し、パワーを要する今季の京都でラスト2F・11秒台を計測。今日のレースはD評価だが、叩き前進が矢作流。まだ奥がありそうな馬ですね。【評価D/適性・1800m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2019年1月28日(月)

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は昨年のダービー馬・ワグネリアンの全弟や、オールドファンには嬉しいメジロドーベルの仔らが登場。また今年から導入されているリステッドレースは、東京1400mで開催されたクロッカスS。そのレースレベルはいかほどに?(※評価はS〜Eの6段階)


■サトノラディウス(牡3・ディープインパクト×アーヴェイ)

26日(土):京都10R・梅花賞(500万下)/芝2400m/2分29秒3

 母は英3勝、愛・GIIIに、北米に渡りフラワーボウル招待Sで芝10F・GI勝ち。一番仔から兄姉たちを見てきたが、小さかったり、気が強かったり、かと思えば逆に、5番仔の本馬は494kgと大柄。東京で上がり33秒4が使え、中山の葉牡丹賞を1分59秒8で3着したが、跳びは大きく、もっと距離が欲しいかも。

 国枝厩舎にはほかに、「サトノ」の冠がつくクラシック有力候補がいるため、適性を想い2400mの京都へ遠征。長丁場、小頭数に典型的なスローの上り勝負となったが、11秒9-12秒3-12秒5(3Fは36秒7)を、根気強く上り36秒3で差し切り勝ち。次走9〜10Fを一度試すかもしれないが、春の最終目標はダービー参戦。【評価D/適性・芝2400m】


■ピンシェル(牡3・ルーラーシップ×メジロドーベル)

26日(土):東京5R・3歳未勝利/芝2400m/2分27秒6

 母メジロドーベルは、オークス、秋華賞、エリザベス女王杯優勝。祖母はメジロビューティー、その母メジロナガサキ、メジロボサツへと続く牝系は、現代日本競馬の歴史。ワタクシも、井崎脩五郎さんも、女房のお義父さんも、競馬トモダチはみんな、メジロの牝系とともに歩んできた。

 なんて、勝ってなお「長い目で見てやってほしい」という横山典Jのレースコメントにもあるように、贅肉が多く体型は子供。ただ、母も桁違いに調教は動いたが、息子のピンシェルもデビュー前から、今の時代では珍しい、坂路3本追いを敢行。いつも上り3Fは37秒台、終いも12秒台でまとめてくる。

 ここの坂路時計が能力のよりどころとなり、将来の布石にもなると思っていたが、今日は早めの競馬を試みていると言っていた通り、1000m通過・61秒4というスローを、逃げ馬の脚を勘定に入れながら3番手。2000m通過は2分2秒8、上り3F・11秒8-12秒2-12秒6(36秒4)というレースの上りを35秒2で、懸命にもうひと伸び。レースレベルの評価はD、でもなんだか嬉しい。

 古馬となりアルゼンチン共和国杯やステイヤーズSや阪神大賞典を使いながら、再来年の天皇賞(春)を目指して頑張ろう。【評価D/適性・芝3000m】


■ディキシーナイト(牡3・ダイワメジャー×カメリアローズ)

26日(土):東京10R・クロッカスS(L)/芝1400m/1分22秒2

 1400m短縮はどうかとも思ったが、ダイワメジャーの仔。前走の中山は、マーフィーをもってしても、直線モタれてしまった。

 今回はハミを工夫したとも聞く、左回りもあっていたのだろう。ジュニアCを1分34秒0で走った経験を活かし、11秒7-11秒0-11秒5(3Fは34秒2)というレースラップを33秒6でひと差し。東京コースならマイルでも走りはブレないように思う。

 ただ、時計は1分22秒2、可もなく不可もなし。リステッドレースは、レースレベルはA評価もあれば、クロッカスSのようにCレベルも多い。【評価C/適性・芝1800m】


■アイワナビリーヴ(牝3・ジャスタウェイ×ワナダンス)

27日(日):東京6R・3歳新馬/芝1800m/1分48秒9

 母はアルゼンチン4勝(1200ダートGIなど)。一番仔アイワナシーユー(父ステイゴールド)は、5戦して未勝利。父がジャスタウェイにかわり、性格は素直。年明けデビューながら、462kgのスカッとした好馬体。道中馬込みで我慢が効き、マーフィーがひと追いするとギアを一段上げ、34秒3というレースラップを、ブレのないフットワークで、34秒0で差し切り勝ち。同日のセントポーリア賞に0秒7遅れだが、1分48秒9も上りラップも初陣とすれば上出来。

 距離は2000mまでだろうか。ただ、3歳春は2400mくらいは大丈夫。桜花賞となると、かなり日程がハードになるが、オークス一本なら出走権は取れそうですね。【評価B/適性・芝1800m】


■カントル(牡3・ディープインパクト×ミスアンコール)

27日(日):東京9R・セントポーリア賞(500万下)/芝1800m/1分48秒2

 あれ、オジュウチョウサンほどではないが、黒い大きなチークピーシーズをつけている。そうか、新馬戦は暴走気味の逃げ、二戦目も鞍上の指示と始動にタイムラグがあった。パドックでも頭を上げてたまにキョロキョロ、少し気性は子供だ。シルエットは全兄のワグネリアンとほぼ同じ、品のよさや肌艶の感じは兄のほうが好きかもと思うが、1000m通過・1分1秒9というスロー、離れた三番手を悠々、11秒1-11秒0-11秒6(3Fは33秒7)というレースラップに対し、自身の上りは33秒3。1分48秒2という走破タイムも含め、レースに瑕疵は少なし。

 ダービーまで、精神ともに一段階段を上がった兄の背中を、弟もたどる。【評価B/適性・芝2000m】


■ユニコーンライオン(牡3・No Nay Never×Muravka)

27日(日):京都6R・3歳新馬/芝1800m/1分50秒1

 タタソールズ10月セールで85万ギニー(約1億3000万円)。脚長でスラっと見せるが、540kgもあるんだ。大きく造りが難しいからデビューも延び延びになってしまったのだろう。しかし、巨体をゆすって坂路で好時計を連発。ソツなく好位にとりつき、さあどのくらいぶっちぎるのかなぁと思ったら、上っ面をあげフラフラ。重めでヨタヨタはしたものの、ゴール前走る気を取り戻し、パワーを要する今季の京都でラスト2F・11秒台を計測。今日のレースはD評価だが、叩き前進が矢作流。まだ奥がありそうな馬ですね。【評価D/適性・1800m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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