上がり32秒を連発!名牝の香り漂うウーマンズハート/丹下日出夫
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は新潟から注目馬が続々と! 新潟2歳Sを鋭い末脚で制したウーマンズハート、1つ上の半兄にエングレーバーがいるリグージェ、チリ2歳牝馬チャンピオンを母に持つゴールデンレシオなど、秋への飛躍が期待出来る注目馬4頭をピックアップしていきます。(※評価はS〜Eの6段階)
ウーマンズハート(牝・ハーツクライ×レディオブパーシャ)
■25日(日):新潟11R・新潟2歳S(GIII)/芝1600m/1分35秒0
上がり32秒0という驚異の瞬発力で直線一気を決めた、8月3日の新馬戦から中二週。
2歳馬には、このローテーションはややハードかな? 慎重に体調をうかがいながらの調整になったが、14日の水曜日から、坂路で合計4本。徐々に時計の精度を上げ、最終追い切りは53秒2-38秒0-12秒1。まだ若さやもどかしさを残しつつ、完成したら調教でも、どれくらい加速していくのだろうなどと想像してしまう。
近親のティーハーフ、ラッキーナインたちは、みるからに短躯の100m走者だったが、ハーツクライ産駒独特の皮膚とラインが前面に現れ、縦から見るとまだまだ薄いが、同じハーツクライ産駒のリスグラシューと、気合乗りや仕草など共通点が多い。
前半1000mは1分1秒4の緩ペース。背腰のバネが他とは違うのだろう。馬群のなかで赤い帽子が上下に揺れ、道中はファイト満々。ただ、例年の2歳Sより流れは1秒以上遅い。ラスト3Fは11秒0-11秒0-11秒6(33秒6)という、きわめて上がりの速い瞬発力決着となったが、新馬に続きここでも32秒8。脚を使ったのは正味1〜2F、ゴール板を通過した時の余勢も十分。推定になるが、今回もラスト2F近辺のラップは10秒台を計測、ケロリとした顔でカンカン場へ引き上げてきた。
トレーナーは、甘やかさず攻めすぎず、テイエムオーシャン、カワカミプリンセスをGI馬に仕立て上げた西浦師。暮れの阪神JFから桜花賞へと至るまでの、匙加減や成長過程を見守ろう。【評価A/適性・芝1600m】
リグージェ(牡・ブラックタイド×マルティンスターク)
■25日(日):新潟5R・新馬/芝1800m/1分50秒0
ひとつ上の現3歳エングレーバー(父オルフェーヴル)は2勝。プリンシパルS2着などあり、近い将来のオープン入りを期待されている。
弟は、父ブラックタイド譲りの黒鹿毛。予定より1か月近く遅れてのデビューとなったが、1週前の芝追い切りで古馬オープンと併入。坂路を11秒台で登板、一気に仕上げのピッチが上がった。
体重は468キロ、若干腰は小さめ。スタートは出遅れ気味、1000m通過は1分1秒9のスロー。外に持ち出すまで二度ばかりごちゃごちゃしたが、12秒1-11秒6-11秒8(3Fは35秒5)というレースラップを33秒0で強襲。走破タイムは1分50秒0止まりだが、終い2Fは推定10秒台。これは想像を超える切れ者。手先が伸びやかになり、もう一回り腰が大きくなれば、クラシック戦線でも、ほうと驚く結果を残すかもしれない。【評価A/適性・芝1800m】
ゴールデンレシオ(牡・ディープインパクト×ディヴィナプレシオーサ)
■24日(土):新潟3R・未勝利/芝1800m/1分48秒2
母は海外4勝、チリ2歳牝馬チャンピオン。デビュー戦の福島2000mは稍重、走破タイムは2分5秒1。馬場とフォームがかみ合わない感じがあったが、今回は新潟外回りでの稍重。前半1000mは59秒8のミドルペースで流れた。
じっくりと直線を待ち、11秒8-11秒3-12秒7(3F・35秒8)というレースラップを34秒6で強襲。まだトモ回りが膨らみ切れず、終い1Fの数字が少し物足りないけれど、走破タイムは1分48秒2。昇級にも耐えうる総合力に注目。【評価D/適性・芝2000m】
メイショウラツワン(牡・ルーラーシップ×ルサビ)
■25日(日):小倉5R・新馬/芝2000m/2分5秒7
北海道サマープレミアムセール出身で母は1戦のみ出走。しかし全兄は、NHKマイル、ダービーをブッコ抜いたディープスカイ。坂路・CWで豊富な併せ馬など積み重ねてきた。
丁寧な仕上げと生真面目な性格通り、1コーナー手前、すかさず2番手。前半1000mは1分5秒3の超スロー、他馬の脚色など背中で探りつつ、ラスト3F目が12秒0。そこから一気に11秒4-11秒6にギアを上げ、34秒9で二着馬を半馬身と封印。
馬体は478キロ、追ってバテない。2勝目は1〜2F延長の長いところになるかもしれない。【評価D/適性・芝2400m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)
2019年8月27日(火)
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は新潟から注目馬が続々と! 新潟2歳Sを鋭い末脚で制したウーマンズハート、1つ上の半兄にエングレーバーがいるリグージェ、チリ2歳牝馬チャンピオンを母に持つゴールデンレシオなど、秋への飛躍が期待出来る注目馬4頭をピックアップしていきます。(※評価はS〜Eの6段階)
ウーマンズハート(牝・ハーツクライ×レディオブパーシャ)
■25日(日):新潟11R・新潟2歳S(GIII)/芝1600m/1分35秒0
上がり32秒0という驚異の瞬発力で直線一気を決めた、8月3日の新馬戦から中二週。
2歳馬には、このローテーションはややハードかな? 慎重に体調をうかがいながらの調整になったが、14日の水曜日から、坂路で合計4本。徐々に時計の精度を上げ、最終追い切りは53秒2-38秒0-12秒1。まだ若さやもどかしさを残しつつ、完成したら調教でも、どれくらい加速していくのだろうなどと想像してしまう。
近親のティーハーフ、ラッキーナインたちは、みるからに短躯の100m走者だったが、ハーツクライ産駒独特の皮膚とラインが前面に現れ、縦から見るとまだまだ薄いが、同じハーツクライ産駒のリスグラシューと、気合乗りや仕草など共通点が多い。
前半1000mは1分1秒4の緩ペース。背腰のバネが他とは違うのだろう。馬群のなかで赤い帽子が上下に揺れ、道中はファイト満々。ただ、例年の2歳Sより流れは1秒以上遅い。ラスト3Fは11秒0-11秒0-11秒6(33秒6)という、きわめて上がりの速い瞬発力決着となったが、新馬に続きここでも32秒8。脚を使ったのは正味1〜2F、ゴール板を通過した時の余勢も十分。推定になるが、今回もラスト2F近辺のラップは10秒台を計測、ケロリとした顔でカンカン場へ引き上げてきた。
トレーナーは、甘やかさず攻めすぎず、テイエムオーシャン、カワカミプリンセスをGI馬に仕立て上げた西浦師。暮れの阪神JFから桜花賞へと至るまでの、匙加減や成長過程を見守ろう。【評価A/適性・芝1600m】
リグージェ(牡・ブラックタイド×マルティンスターク)
■25日(日):新潟5R・新馬/芝1800m/1分50秒0
ひとつ上の現3歳エングレーバー(父オルフェーヴル)は2勝。プリンシパルS2着などあり、近い将来のオープン入りを期待されている。
弟は、父ブラックタイド譲りの黒鹿毛。予定より1か月近く遅れてのデビューとなったが、1週前の芝追い切りで古馬オープンと併入。坂路を11秒台で登板、一気に仕上げのピッチが上がった。
体重は468キロ、若干腰は小さめ。スタートは出遅れ気味、1000m通過は1分1秒9のスロー。外に持ち出すまで二度ばかりごちゃごちゃしたが、12秒1-11秒6-11秒8(3Fは35秒5)というレースラップを33秒0で強襲。走破タイムは1分50秒0止まりだが、終い2Fは推定10秒台。これは想像を超える切れ者。手先が伸びやかになり、もう一回り腰が大きくなれば、クラシック戦線でも、ほうと驚く結果を残すかもしれない。【評価A/適性・芝1800m】
ゴールデンレシオ(牡・ディープインパクト×ディヴィナプレシオーサ)
■24日(土):新潟3R・未勝利/芝1800m/1分48秒2
母は海外4勝、チリ2歳牝馬チャンピオン。デビュー戦の福島2000mは稍重、走破タイムは2分5秒1。馬場とフォームがかみ合わない感じがあったが、今回は新潟外回りでの稍重。前半1000mは59秒8のミドルペースで流れた。
じっくりと直線を待ち、11秒8-11秒3-12秒7(3F・35秒8)というレースラップを34秒6で強襲。まだトモ回りが膨らみ切れず、終い1Fの数字が少し物足りないけれど、走破タイムは1分48秒2。昇級にも耐えうる総合力に注目。【評価D/適性・芝2000m】
メイショウラツワン(牡・ルーラーシップ×ルサビ)
■25日(日):小倉5R・新馬/芝2000m/2分5秒7
北海道サマープレミアムセール出身で母は1戦のみ出走。しかし全兄は、NHKマイル、ダービーをブッコ抜いたディープスカイ。坂路・CWで豊富な併せ馬など積み重ねてきた。
丁寧な仕上げと生真面目な性格通り、1コーナー手前、すかさず2番手。前半1000mは1分5秒3の超スロー、他馬の脚色など背中で探りつつ、ラスト3F目が12秒0。そこから一気に11秒4-11秒6にギアを上げ、34秒9で二着馬を半馬身と封印。
馬体は478キロ、追ってバテない。2勝目は1〜2F延長の長いところになるかもしれない。【評価D/適性・芝2400m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)