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目にも鮮やかダノンファンタジー 桜花賞では上昇確実/丹下日出夫

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 過去3年より遅い決着となったチューリップ賞に納得のわけとは? 対照的に波乱となった弥生賞をうけ、牡馬路線に勢力図の変化は? 本番まであと1ヶ月あまりとなったクラシックの行方は果たして…(※評価はS〜Eの6段階)


■ダノンファンタジー(牝・ディープインパクト×ライフフォーセール)

3日(日):阪神11R・チューリップ賞(GII)/芝1600m/1分34秒1

 12月の阪神JFと比較すると、若干落ち着きがなく、冬場ゆえ少し肌が毛羽立っている。

 スタートを決め好位の内。2F目11秒1という数字はマイル重賞としては緩め、4F目は12秒3に流れが落ち着いてしまった(800m通過は47秒8)。緩ペースにしびれをきらしそうになり、時折頭を上げるシーンも見受けられたが、ある程度の我慢とコントロールはできている。

 ただ、このスローでは先行勢も簡単にはバテない。直線を向くとズラリと前が壁。外に持ち出すまで二度三度、コースを切り替える工程を踏まざるを得なかったが、レースの上りは11秒3-11秒0-11秒9という高速(3Fは34秒2)、自身の上りは34秒0。残り2F・11秒0の地点でしっかりとギアがトップに入り、ゴール板通過時は流す余裕。

 チューリップ賞は近二年、1分33秒台前半で決着していたが、高速タイムで走れば消耗もする。1分34秒1くらいの時計がちょうどいいかもしれない。

 少し引っかかったぶん、レース評価は「A」に留めたが、実質は「S」。希望的観測ではなく、叩いたことで、四肢の踏み込みも身体の張りも、本番の桜花賞は目に見えて増してくるだろう。

 2着はシゲルピンクダイヤ。ゴール前の猛追は、最速の上り33秒6という数字通り迫力十分。ただ、トライアルでの10キロ減は少し切ないかも…。【評価A/適性・芝1600m】


■メイショウテンゲン(牡・ディープインパクト×メイショウベルーガ)

3日(日):中山11R・弥生賞(GII)/芝2000m/2分3秒3

 未勝利脱出は4戦目の阪神1800m、フラフラと外にヨレながらも、力で外一気を決めた。

 母メイショウベルーガは、古馬となり日経新春杯、京都大賞典優勝、エリザベス女王杯2着。使い込んで味の出る、母譲りのパワー型の芦毛(母父はフレンチデピュティ)。馬場差2秒以上の重馬場で、1000m通過・61秒8というタフなミドルラップにも足取りは確か。上り3Fのレースラップは12秒1-12秒3-12秒6。11秒前半の切れ味勝負となると、まだ一考の余地はあるが、道悪はドンと来い。距離は2400m以上あっても平気。皐月賞もダービーも雨よ降れ。

 2着はシュヴァルツリーゼ。キャリア1戦、スタートで挟まれ後手に回り、4角でバチンと接触。外に大きく振られ、普通ならそこでジエンド。戦意を喪失し、ブービー負けしたってしょうがない、厳しい競馬を課されたが、荒々しくも強靭に、坂下からグイと一脚使った。

 判断に迷う2着ではあるが、デビュー戦、上り2Fを推定10秒5前後の連続ラップを計測。「あれは途方もない馬だ」と、ダービーの、サートゥルナーリアのライバル一番手に挙げる人もいた。

 ラストドラフトは、馬場を、人気を怖がるかのような、縮こまった逃げ。本来の闊達さや伸びやかさをどこかに置き忘れてしまった。【評価C/適性・芝2400m】


■クードメイトル(牝・ヴィクトワールピサ×ドリームオブジェニー)

2日(土):阪神4R・未勝利/芝2000m/2分2秒5

 半姉のファンディーナ(父ディープインパクト)は、デビュー戦からフラワーCまで3連勝。皐月賞は1番人気に推された。

 ワタクシも、牝馬による歴史的な皐月制覇がみてみたいかも――。◎を献上。いやいや、3角スパート、見せ場は作ってくれたんだけどね(7着)。

 姉も顔の大きな500キロを超す大型牝馬だったが、ヴィクトワールピサ産駒の妹はさらに一回り巨大な538キロの栗毛。1000m通過・1分1秒4のスローを好位、直線手前でチョイと合図をすると、みるまに先頭。上りラップそのものは11秒7-11秒7-12秒7(36秒1)止まり。しかし、あの持ったままの手応え、大楽勝は、姉と同等かそれ以上の怪物だぁ〜〜。

 姉は生き急ぎすぎたというか。皐月賞アタックという天命のようなものを受け要らざるを得なかったが、その気になれば春はオークス。大事に使えば古馬となりエリザベス女王杯――ムッキムキの身体を見ると、桁違いにダートも走ったりして(笑)。

 ちなみにレヴドゥギャルソン(牡・父ハーツクライ・栗毛)という名前を予定している2歳馬が、クラブ募集されているみたい。興味津々。【評価A/適性・芝・ダート2000m】


■フォッサマグナ(牡・War Front×River Belle)

2日(土):中山7R・500万下/芝1600m/1分34秒5

 中京7Fの新馬を一気差し。これは非凡な瞬発力の持ち主だ。

 ただ、共同通信杯のパドックの中に入ると、身体の練度が足りない。胸前は充実しているが、腰回りは小さく尖り気味。道中ロスも多かったにせよ、残り1Fの止まり方を見ると9Fは現状長く、本質はたぶんマイラーかな。

 中山マイル仕様に、今日は馬体を474キロに膨らませ肌も磨き込み、1000m通過・59秒2という流れなら折り合いも楽。直線入り口、追い出しを待つ余裕。手綱を放すと坂下から一気、後続には2馬身余。1分34秒5も、アクションひとつで0秒5くらいは詰まる。ニュージーランドTの、予行演習になった。【評価B/適性・芝1400〜1600m】


■ランスオブプラーナ(牡・ケープブランコ×マイプラーナ)

3日(日):阪神8R・アルメリア賞(500万)/芝1800m/1分47秒5

 使い出しは中京・芝1400m(2着)、二戦目の阪神1400mで未勝利勝ち。なずな賞(中京7F)は、1分20秒9という好タイムで2着。距離1800mのGIII・きさらぎ賞を、逃げ粘って0秒4差の3着。段階を踏み距離や戦法を錬磨してきた。

 アルメリア賞は、そのキャリアの現時点での集大成。ジンワリと先手を奪い、1000m通過・1分0秒7のスローに落とし、ラスト3Fは11秒4-11秒1-11秒9でフィニッシュ、走破タイムは1分47秒5。いずれ訪れるだろう、古馬1000万クラスの決着時計の在りかは、ほぼ見えた。【評価C/適性・芝1800m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2019年3月4日(月)

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全3歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 過去3年より遅い決着となったチューリップ賞に納得のわけとは? 対照的に波乱となった弥生賞をうけ、牡馬路線に勢力図の変化は? 本番まであと1ヶ月あまりとなったクラシックの行方は果たして…(※評価はS〜Eの6段階)


■ダノンファンタジー(牝・ディープインパクト×ライフフォーセール)

3日(日):阪神11R・チューリップ賞(GII)/芝1600m/1分34秒1

 12月の阪神JFと比較すると、若干落ち着きがなく、冬場ゆえ少し肌が毛羽立っている。

 スタートを決め好位の内。2F目11秒1という数字はマイル重賞としては緩め、4F目は12秒3に流れが落ち着いてしまった(800m通過は47秒8)。緩ペースにしびれをきらしそうになり、時折頭を上げるシーンも見受けられたが、ある程度の我慢とコントロールはできている。

 ただ、このスローでは先行勢も簡単にはバテない。直線を向くとズラリと前が壁。外に持ち出すまで二度三度、コースを切り替える工程を踏まざるを得なかったが、レースの上りは11秒3-11秒0-11秒9という高速(3Fは34秒2)、自身の上りは34秒0。残り2F・11秒0の地点でしっかりとギアがトップに入り、ゴール板通過時は流す余裕。

 チューリップ賞は近二年、1分33秒台前半で決着していたが、高速タイムで走れば消耗もする。1分34秒1くらいの時計がちょうどいいかもしれない。

 少し引っかかったぶん、レース評価は「A」に留めたが、実質は「S」。希望的観測ではなく、叩いたことで、四肢の踏み込みも身体の張りも、本番の桜花賞は目に見えて増してくるだろう。

 2着はシゲルピンクダイヤ。ゴール前の猛追は、最速の上り33秒6という数字通り迫力十分。ただ、トライアルでの10キロ減は少し切ないかも…。【評価A/適性・芝1600m】


■メイショウテンゲン(牡・ディープインパクト×メイショウベルーガ)

3日(日):中山11R・弥生賞(GII)/芝2000m/2分3秒3

 未勝利脱出は4戦目の阪神1800m、フラフラと外にヨレながらも、力で外一気を決めた。

 母メイショウベルーガは、古馬となり日経新春杯、京都大賞典優勝、エリザベス女王杯2着。使い込んで味の出る、母譲りのパワー型の芦毛(母父はフレンチデピュティ)。馬場差2秒以上の重馬場で、1000m通過・61秒8というタフなミドルラップにも足取りは確か。上り3Fのレースラップは12秒1-12秒3-12秒6。11秒前半の切れ味勝負となると、まだ一考の余地はあるが、道悪はドンと来い。距離は2400m以上あっても平気。皐月賞もダービーも雨よ降れ。

 2着はシュヴァルツリーゼ。キャリア1戦、スタートで挟まれ後手に回り、4角でバチンと接触。外に大きく振られ、普通ならそこでジエンド。戦意を喪失し、ブービー負けしたってしょうがない、厳しい競馬を課されたが、荒々しくも強靭に、坂下からグイと一脚使った。

 判断に迷う2着ではあるが、デビュー戦、上り2Fを推定10秒5前後の連続ラップを計測。「あれは途方もない馬だ」と、ダービーの、サートゥルナーリアのライバル一番手に挙げる人もいた。

 ラストドラフトは、馬場を、人気を怖がるかのような、縮こまった逃げ。本来の闊達さや伸びやかさをどこかに置き忘れてしまった。【評価C/適性・芝2400m】


■クードメイトル(牝・ヴィクトワールピサ×ドリームオブジェニー)

2日(土):阪神4R・未勝利/芝2000m/2分2秒5

 半姉のファンディーナ(父ディープインパクト)は、デビュー戦からフラワーCまで3連勝。皐月賞は1番人気に推された。

 ワタクシも、牝馬による歴史的な皐月制覇がみてみたいかも――。◎を献上。いやいや、3角スパート、見せ場は作ってくれたんだけどね(7着)。

 姉も顔の大きな500キロを超す大型牝馬だったが、ヴィクトワールピサ産駒の妹はさらに一回り巨大な538キロの栗毛。1000m通過・1分1秒4のスローを好位、直線手前でチョイと合図をすると、みるまに先頭。上りラップそのものは11秒7-11秒7-12秒7(36秒1)止まり。しかし、あの持ったままの手応え、大楽勝は、姉と同等かそれ以上の怪物だぁ〜〜。

 姉は生き急ぎすぎたというか。皐月賞アタックという天命のようなものを受け要らざるを得なかったが、その気になれば春はオークス。大事に使えば古馬となりエリザベス女王杯――ムッキムキの身体を見ると、桁違いにダートも走ったりして(笑)。

 ちなみにレヴドゥギャルソン(牡・父ハーツクライ・栗毛)という名前を予定している2歳馬が、クラブ募集されているみたい。興味津々。【評価A/適性・芝・ダート2000m】


■フォッサマグナ(牡・War Front×River Belle)

2日(土):中山7R・500万下/芝1600m/1分34秒5

 中京7Fの新馬を一気差し。これは非凡な瞬発力の持ち主だ。

 ただ、共同通信杯のパドックの中に入ると、身体の練度が足りない。胸前は充実しているが、腰回りは小さく尖り気味。道中ロスも多かったにせよ、残り1Fの止まり方を見ると9Fは現状長く、本質はたぶんマイラーかな。

 中山マイル仕様に、今日は馬体を474キロに膨らませ肌も磨き込み、1000m通過・59秒2という流れなら折り合いも楽。直線入り口、追い出しを待つ余裕。手綱を放すと坂下から一気、後続には2馬身余。1分34秒5も、アクションひとつで0秒5くらいは詰まる。ニュージーランドTの、予行演習になった。【評価B/適性・芝1400〜1600m】


■ランスオブプラーナ(牡・ケープブランコ×マイプラーナ)

3日(日):阪神8R・アルメリア賞(500万)/芝1800m/1分47秒5

 使い出しは中京・芝1400m(2着)、二戦目の阪神1400mで未勝利勝ち。なずな賞(中京7F)は、1分20秒9という好タイムで2着。距離1800mのGIII・きさらぎ賞を、逃げ粘って0秒4差の3着。段階を踏み距離や戦法を錬磨してきた。

 アルメリア賞は、そのキャリアの現時点での集大成。ジンワリと先手を奪い、1000m通過・1分0秒7のスローに落とし、ラスト3Fは11秒4-11秒1-11秒9でフィニッシュ、走破タイムは1分47秒5。いずれ訪れるだろう、古馬1000万クラスの決着時計の在りかは、ほぼ見えた。【評価C/適性・芝1800m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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