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2020年の桜花賞チケット、初週から予約殺到/丹下日出夫

【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は、先週から2歳世代がデビューしたことに伴い、新馬戦全5レースをプレイバック! 前年は桜花賞馬グランアレグリア&2歳女王ダノンファンタジーが、初週からワンツーフィニッシュを決めたなか、今年もそれらに劣らず「素質は文句なしのS級評価」と丹下氏太鼓判の逸材が早速! 大物感溢れ出る若駒の台頭に、丹下氏の展望は早くも来年の桜花賞へ…!?(※評価はS〜Eの6段階)


■リアアメリア(牝・ディープインパクト×リアアントニア)

1日(土):阪神5R・新馬/芝1600m/1分36秒5

 発馬はモッサリ。前半1000m通過は1分1秒6のスロー。3コーナー手前まで、何度か口をパクパク、頭は高い。テレビの前で、5万人近くのPOGファンが悲鳴をあげる。しかし、聞けば「(将来を考えて?)スタートをゆっくり出た」――まじですか。

 ひと昔前だったら、この手の乱暴者は、騎手の焦りも加わり、制御不能に陥り4コーナーで逸走なんてパターンもあったが、直線入り口で早くも先行勢を押圧。まだ追わないの? 手綱が動いてないよ。え、え、えっと思っている間にもうゴールラインを通過してしまった。

 相手も相手だったが、後続に8馬身の大楽勝。上がり3Fのレースラップは11秒5-11秒4-12秒0(3Fは34秒9)、自身の上がりは34秒4。前開催の京都や東京開催に比べると、大したことない数字に映るけれど、3回阪神は古馬でも上がり1Fを12秒台のレースが大半だった。数字に惑わされることなく、目で見たことを信用したい。本馬になんらかのかかわりのある人は、2020年の桜花賞のスケジュールなどを組もう(笑)。

 素質は文句なしのS。ただ、スタートや折り合い、上がりラップ――そして、後肢の左右のバランスがもう少しよくなればいいなという願望も含め、改善の余地を残すぶん、慎重に謙虚に、レース評価はBとさせていただきました。【評価B/適性・芝1600m】


■カイトレッド(牝・ゴールドヘイロー×ニシノマドカ)

1日(土):東京5R・新馬/芝1400m/1分23秒9

 北海道のサマーセール出身(378万円)。半兄のナイママ(父ダノンバラード)は、札幌2歳S2着。父はゴールドヘイロー、牝馬に出たぶん体型は異なるが、サイズは444キロ。細すぎもせず、性格は素直。併せ馬でも遅れはなし。「新馬向き」という表現がピタリとあてはまる。

 前半のペースは1分1秒3のスロー。いかにもありがちな上がり勝負となったが、先週来の先行有利の馬場を追い風に、11秒7-11秒0-11秒6(3Fは34秒3)というレースラップを34秒1で押し出し。

 たぶん、新馬戦がマックスのように思うが、新潟のダリア賞など、相手関係など上手く見定めれば、もう1勝はいける。【評価E/適性・芝1400m】


■タイセイビジョン(牡・タートルボウル×ソムニア)

2日(日):阪神5R・新馬/芝1400m/1分23秒0

 母は函館2歳S3着。実は、何故かタートルボウル好き。だからといって、なかなかPOGで指名する機会はないけれど、デビュー前の坂路調教で上がり重点とはいえ12秒1を幾度か出していた。

 稽古同様、実戦に行っても前進気勢旺盛。1000m通過・58秒6というミドルラップにも我慢がきかないといった感じで、直線入り口ではもう先頭。ラスト3Fのレースラップは12秒0-11秒9-12秒5(3Fは36秒4)、自身のソレは36秒1。ペースのわりに時計は1分23秒0と、それほど速くはないが、6Fに特化する形でオープン勝ちが見込めるかもしれない。【評価C/適性・芝1200m】


■サリオス(牡・ハーツクライ×サロミナ)

2日(日):東京5R・新馬/芝1600m/1分37秒1

 長女サロニカは2勝、次女のサラキアも2勝(ローズS2着)、ディープインパクト産駒の姉たちも素養はあったが、父がハーツクライにかわり4番仔は534キロの栗毛に変身。見るからに丈夫、パワーはありあまっている。育成段階から流す程度でも時計になる。トレセン入りして、追い日ごとに時計が詰まる、CWの加速もなかなかいい。

 まだトモ高な体型でながら、後肢はリズムよく送り込めている。首、背腰の動きも機敏で柔らか味もある。

 かなりの器だろうという手応えをもって臨んだが、前半3Fまでに13秒台のラップが二つ出現する超スロー。道中は後方、この馬場であの位置はキツいかなと、チラリと思ったりしたが、あのレーンもよほど自信があったんでしょうね。11秒4-10秒9-11秒3(3Fは33秒6)というレースラップを33秒1でグングンと加速。

 6月期の東京マイルの新馬ときくと、ステルヴィオ、グランアレグリアの名が浮かぶが、実測として10秒9というラップが出たのは初めてではないか。時計は1分37秒1止まりでも、中身はここ二年の名物新馬と同等か、それ以上かもしれない。

 サイズのわりにやや脚は短め。基軸はマイルになるだろう。反動も少なく、普通に新潟2歳Sなども走れそうですが、ジックリ待つなら秋のサウジアラビアRCがお似合い。クラシックを睨むなら、東京スポーツ杯を選ぶか。悩みは贅沢(笑)。【評価A/適性1600m】


■モーベット(牝・オルフェーヴル×アイムユアーズ)

2日(日):東京6R・新馬(牝)/芝1600m/1分36秒9

 母アイムユアーズは、フィリーズレビューなど重賞4勝、阪神JF2着、桜花賞3着。実にPOG孝行な、元気でスピードのある栗毛馬だったなぁ。

 二番仔の父はオルフェーヴル。四肢の捌きは軽やか。母の現役時代などパドックで思い返す。パドックで時折頭を上げる、スタートの後手は、ルメールも想定にしていたのだろう。1000m通過62秒5のスローにも動じることなく、11秒8-11秒4-11秒2(3Fは34秒4)というレースラップを、33秒8の加速ラップで、残り1F標識で抜けきった。

 デビュー戦の体重は454キロだが、まだ幅が薄く、腹回りも頼りない。一度成長期など設け、成長にあわせジックリ牝馬路線など厳選したい。【評価C/適性・芝1600m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2019年6月30日(日)

【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は、先週から2歳世代がデビューしたことに伴い、新馬戦全5レースをプレイバック! 前年は桜花賞馬グランアレグリア&2歳女王ダノンファンタジーが、初週からワンツーフィニッシュを決めたなか、今年もそれらに劣らず「素質は文句なしのS級評価」と丹下氏太鼓判の逸材が早速! 大物感溢れ出る若駒の台頭に、丹下氏の展望は早くも来年の桜花賞へ…!?(※評価はS〜Eの6段階)


■リアアメリア(牝・ディープインパクト×リアアントニア)

1日(土):阪神5R・新馬/芝1600m/1分36秒5

 発馬はモッサリ。前半1000m通過は1分1秒6のスロー。3コーナー手前まで、何度か口をパクパク、頭は高い。テレビの前で、5万人近くのPOGファンが悲鳴をあげる。しかし、聞けば「(将来を考えて?)スタートをゆっくり出た」――まじですか。

 ひと昔前だったら、この手の乱暴者は、騎手の焦りも加わり、制御不能に陥り4コーナーで逸走なんてパターンもあったが、直線入り口で早くも先行勢を押圧。まだ追わないの? 手綱が動いてないよ。え、え、えっと思っている間にもうゴールラインを通過してしまった。

 相手も相手だったが、後続に8馬身の大楽勝。上がり3Fのレースラップは11秒5-11秒4-12秒0(3Fは34秒9)、自身の上がりは34秒4。前開催の京都や東京開催に比べると、大したことない数字に映るけれど、3回阪神は古馬でも上がり1Fを12秒台のレースが大半だった。数字に惑わされることなく、目で見たことを信用したい。本馬になんらかのかかわりのある人は、2020年の桜花賞のスケジュールなどを組もう(笑)。

 素質は文句なしのS。ただ、スタートや折り合い、上がりラップ――そして、後肢の左右のバランスがもう少しよくなればいいなという願望も含め、改善の余地を残すぶん、慎重に謙虚に、レース評価はBとさせていただきました。【評価B/適性・芝1600m】


■カイトレッド(牝・ゴールドヘイロー×ニシノマドカ)

1日(土):東京5R・新馬/芝1400m/1分23秒9

 北海道のサマーセール出身(378万円)。半兄のナイママ(父ダノンバラード)は、札幌2歳S2着。父はゴールドヘイロー、牝馬に出たぶん体型は異なるが、サイズは444キロ。細すぎもせず、性格は素直。併せ馬でも遅れはなし。「新馬向き」という表現がピタリとあてはまる。

 前半のペースは1分1秒3のスロー。いかにもありがちな上がり勝負となったが、先週来の先行有利の馬場を追い風に、11秒7-11秒0-11秒6(3Fは34秒3)というレースラップを34秒1で押し出し。

 たぶん、新馬戦がマックスのように思うが、新潟のダリア賞など、相手関係など上手く見定めれば、もう1勝はいける。【評価E/適性・芝1400m】


■タイセイビジョン(牡・タートルボウル×ソムニア)

2日(日):阪神5R・新馬/芝1400m/1分23秒0

 母は函館2歳S3着。実は、何故かタートルボウル好き。だからといって、なかなかPOGで指名する機会はないけれど、デビュー前の坂路調教で上がり重点とはいえ12秒1を幾度か出していた。

 稽古同様、実戦に行っても前進気勢旺盛。1000m通過・58秒6というミドルラップにも我慢がきかないといった感じで、直線入り口ではもう先頭。ラスト3Fのレースラップは12秒0-11秒9-12秒5(3Fは36秒4)、自身のソレは36秒1。ペースのわりに時計は1分23秒0と、それほど速くはないが、6Fに特化する形でオープン勝ちが見込めるかもしれない。【評価C/適性・芝1200m】


■サリオス(牡・ハーツクライ×サロミナ)

2日(日):東京5R・新馬/芝1600m/1分37秒1

 長女サロニカは2勝、次女のサラキアも2勝(ローズS2着)、ディープインパクト産駒の姉たちも素養はあったが、父がハーツクライにかわり4番仔は534キロの栗毛に変身。見るからに丈夫、パワーはありあまっている。育成段階から流す程度でも時計になる。トレセン入りして、追い日ごとに時計が詰まる、CWの加速もなかなかいい。

 まだトモ高な体型でながら、後肢はリズムよく送り込めている。首、背腰の動きも機敏で柔らか味もある。

 かなりの器だろうという手応えをもって臨んだが、前半3Fまでに13秒台のラップが二つ出現する超スロー。道中は後方、この馬場であの位置はキツいかなと、チラリと思ったりしたが、あのレーンもよほど自信があったんでしょうね。11秒4-10秒9-11秒3(3Fは33秒6)というレースラップを33秒1でグングンと加速。

 6月期の東京マイルの新馬ときくと、ステルヴィオ、グランアレグリアの名が浮かぶが、実測として10秒9というラップが出たのは初めてではないか。時計は1分37秒1止まりでも、中身はここ二年の名物新馬と同等か、それ以上かもしれない。

 サイズのわりにやや脚は短め。基軸はマイルになるだろう。反動も少なく、普通に新潟2歳Sなども走れそうですが、ジックリ待つなら秋のサウジアラビアRCがお似合い。クラシックを睨むなら、東京スポーツ杯を選ぶか。悩みは贅沢(笑)。【評価A/適性1600m】


■モーベット(牝・オルフェーヴル×アイムユアーズ)

2日(日):東京6R・新馬(牝)/芝1600m/1分36秒9

 母アイムユアーズは、フィリーズレビューなど重賞4勝、阪神JF2着、桜花賞3着。実にPOG孝行な、元気でスピードのある栗毛馬だったなぁ。

 二番仔の父はオルフェーヴル。四肢の捌きは軽やか。母の現役時代などパドックで思い返す。パドックで時折頭を上げる、スタートの後手は、ルメールも想定にしていたのだろう。1000m通過62秒5のスローにも動じることなく、11秒8-11秒4-11秒2(3Fは34秒4)というレースラップを、33秒8の加速ラップで、残り1F標識で抜けきった。

 デビュー戦の体重は454キロだが、まだ幅が薄く、腹回りも頼りない。一度成長期など設け、成長にあわせジックリ牝馬路線など厳選したい。【評価C/適性・芝1600m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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