ディープ×アパパネの12冠ベビー&元気で生真面目なエピファネイア産駒たち/丹下日出夫
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 中京・福島開催が始まった今週は、ディープインパクト×アパパネの仔や丹下氏も「元気に生真面目に走る仔が多い」と評するエピファネイア産駒が登場。とはいえ丹下氏の評価はまずまずといったところで、日曜日に関しては評価の下しづらい雨競馬。次走以降への期待を含ませつつ、今週は計7レースを振り返っていきます。(※評価はS〜Eの6段階)
■ラインベック(牡・ディープインパクト×アパパネ)
29日(土):中京5R・新馬/芝1600m/1分39秒2
パドックは二人引き。ただしイレ込んだ感じはなく、大事をとってのもの。発馬は上手、すぐに2番手。1000m通過・65秒2の緩ペースにも、水平首でコントロールが効いていた。
上がり3Fのレースラップは12秒1-10秒7-11秒2(34秒0)、正味2Fの上がり勝負になったが、後続を1馬身余に封印。デビュー戦の印判は、よくできました。
しかし、たとえばワグネリアンは、この時期の中京2000mを上がり32秒6で一閃している。
サイズは462キロ、脚の長さを見ると、あまり大きくはならないかもしれない。腰に肉がつくかどうか。ペースアップへの対応、瞬発力をさらにどう磨き上げるか。案外距離は長いほうがいいのかもしれない?
レース後のコメントで、「次」という言葉を強調されていましたが、育てて進化させる――これからの決意が伝わってきた。【評価D/適性・芝1800m】
■エレナアヴァンティ(牝・アドマイヤムーン×ドリームカムカム)
29日(土):福島5R・新馬/芝1200m/1分9秒5
母はオープンの福島民友C勝ちを含め8勝。ローカル1200mに印象的な活躍歴がある良績スプリンター。父にアドマイヤムーンを迎え、配合イメージ通りのスピード馬が誕生。
湿った芝で、前半3F33秒8というタフなミドルペースを、勝ちに行って1分9秒5。例年の福島開催の6F水準を1秒近く上回っていた。
ファイターだが、変にテンションは高くない。距離に限界はあるものの、6〜7Fで、早い時期にもう1勝はいける。【評価B/適性・芝1200m】
■スマートカーリー(牝・エピファネイア×レティセントガール)
29日(土):函館5R・新馬/芝1200m/1分10秒2
栗東坂路で52秒6-37秒7-12秒5をマーク、最終追い切りの函館本馬場でも先着をはたした。
エピファネイア産駒は、総じて気合乗りよし、前進気勢が強い。本馬もスタート後2F目10秒4にペースアップ。力の離し逃げを打ち、ゴール前もうひと踏ん張り。
水分多い芝で、時計は1分10秒2。新馬勝ちを目標に今日は逃げにこだわったが、意外や一転追い込み型にスイッチ。古馬になってJCで化けた父同様、エピファネイア産駒は、カードは一枚だけではないかもしれない。【評価D/適性・芝1200m】
■ヤマニンエルモサ(牝・エピファネイア×ヤマニンカルフール)
30日(日):中京5R・新馬/芝1600/1分37秒2
母は3勝、兄姉たちはブラックタイプ不在ながらも中央で1〜5勝級がずらり。サイズは440キロ、派手さはないが、一週前の追い切りではゴータイミング(ラジオNIKKEI賞3着)相手に、CWで小差の稽古を消化。エピファネイアの仔は、元気に生真面目に走る仔が多いね。
いざ実戦でも、鞍上の指示に素直に反応、逃げ馬を見ながらいつでもスパートできる態勢。重馬場条件下で、上がり3Fのレースラップは11秒7-11秒3-12秒3。2秒以上は時計のかかる馬場差を考慮すると、1分37秒2というタイムもマズマズ。時計勝負に宿題を残すが、常に全力疾走の頑張り屋。【評価C/適性・芝1400〜1600m】
■ゼンノジャスタ(牡・ジャスタウェイ×ウインアンジェラス)
30日(日):中京6R・新馬/芝1400m/1分24秒2
主戦の田中健Jが手綱を握り、調教に3度騎乗。浅見厩舎の本追い切りは日曜日、坂路で52秒4を追い、直前はゲートが通例。
「出していく」という約束事ができていたのだろう、気合をつけ先団へ。重馬場で1000m通過・59秒5はかなり速い。なるほど、ラスト3Fのレースラップは12秒1-11秒6-13秒1。ラストは消耗戦のようなラップになってしまったが、ゴール前でもうひと粘り。1分24秒2も、この馬場なら上等。
ただ、高速馬場適性だけはなんともいえない。距離は延ばすか縮めるか。そこも思案のしどころ。雨競馬は簡単に断は下せないね。【評価C/適性・芝1400m】
■コンドゥクシオン(牡・ダイワメジャー×アドマイヤハッピー)
30日(日):福島5R・新馬/芝1800m/1分53秒8
牝系の大本はダイナカール。母は4勝、半兄ウォータクティクス(父ウォーエンブレム)は、アンタレスS勝ち。カール一族でもパワー系。ダイワメジャー産駒の本馬も496キロ。
不良馬場で、みんなおっかなびっくり。1000m通過は64秒8、しかし先陣を争う二頭と後続は差が縮まるどころか。直線半ば、先を行く二頭で勝負あり、最後はコンドゥクシオンが体力で寄り切り。
トレセン入りして時計は3本(それも強め)。天栄など経由してきたノーザンF育成馬なのは知っていたが、1本追い切りが少ないかな? パドックでも太く見せていただけに、良化の余地は十分。時計勝負、次が正念場。【評価D/適性・芝1800m】
■イーサンティラノ(牡・ローレルゲレイロ×ブラックウィッチ)
30日(日):函館5R・新馬/芝1200m/1分11秒4
6頭立て、他馬が道悪を気にしている間に自然と先頭へ。2着を3〜4馬身と離しながら、淡々と11秒台のラップを刻みこむ。やや頭の高い走り、ハミの取り方は父ローレルゲレイロに似ている。後半3Fも前進姿勢を保ち、2着馬の急追を半馬身差封じ込めた。
初戦からチークピーシーズ装着、父同様やはり勝負手は先手。発表は稍重ながら、かなり水分の多い馬場ではあるが、そこを考慮しても1分11秒4は若干平凡。【評価E/適性・芝1200m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)
2019年7月1日(月)
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 中京・福島開催が始まった今週は、ディープインパクト×アパパネの仔や丹下氏も「元気に生真面目に走る仔が多い」と評するエピファネイア産駒が登場。とはいえ丹下氏の評価はまずまずといったところで、日曜日に関しては評価の下しづらい雨競馬。次走以降への期待を含ませつつ、今週は計7レースを振り返っていきます。(※評価はS〜Eの6段階)
■ラインベック(牡・ディープインパクト×アパパネ)
29日(土):中京5R・新馬/芝1600m/1分39秒2
パドックは二人引き。ただしイレ込んだ感じはなく、大事をとってのもの。発馬は上手、すぐに2番手。1000m通過・65秒2の緩ペースにも、水平首でコントロールが効いていた。
上がり3Fのレースラップは12秒1-10秒7-11秒2(34秒0)、正味2Fの上がり勝負になったが、後続を1馬身余に封印。デビュー戦の印判は、よくできました。
しかし、たとえばワグネリアンは、この時期の中京2000mを上がり32秒6で一閃している。
サイズは462キロ、脚の長さを見ると、あまり大きくはならないかもしれない。腰に肉がつくかどうか。ペースアップへの対応、瞬発力をさらにどう磨き上げるか。案外距離は長いほうがいいのかもしれない?
レース後のコメントで、「次」という言葉を強調されていましたが、育てて進化させる――これからの決意が伝わってきた。【評価D/適性・芝1800m】
■エレナアヴァンティ(牝・アドマイヤムーン×ドリームカムカム)
29日(土):福島5R・新馬/芝1200m/1分9秒5
母はオープンの福島民友C勝ちを含め8勝。ローカル1200mに印象的な活躍歴がある良績スプリンター。父にアドマイヤムーンを迎え、配合イメージ通りのスピード馬が誕生。
湿った芝で、前半3F33秒8というタフなミドルペースを、勝ちに行って1分9秒5。例年の福島開催の6F水準を1秒近く上回っていた。
ファイターだが、変にテンションは高くない。距離に限界はあるものの、6〜7Fで、早い時期にもう1勝はいける。【評価B/適性・芝1200m】
■スマートカーリー(牝・エピファネイア×レティセントガール)
29日(土):函館5R・新馬/芝1200m/1分10秒2
栗東坂路で52秒6-37秒7-12秒5をマーク、最終追い切りの函館本馬場でも先着をはたした。
エピファネイア産駒は、総じて気合乗りよし、前進気勢が強い。本馬もスタート後2F目10秒4にペースアップ。力の離し逃げを打ち、ゴール前もうひと踏ん張り。
水分多い芝で、時計は1分10秒2。新馬勝ちを目標に今日は逃げにこだわったが、意外や一転追い込み型にスイッチ。古馬になってJCで化けた父同様、エピファネイア産駒は、カードは一枚だけではないかもしれない。【評価D/適性・芝1200m】
■ヤマニンエルモサ(牝・エピファネイア×ヤマニンカルフール)
30日(日):中京5R・新馬/芝1600/1分37秒2
母は3勝、兄姉たちはブラックタイプ不在ながらも中央で1〜5勝級がずらり。サイズは440キロ、派手さはないが、一週前の追い切りではゴータイミング(ラジオNIKKEI賞3着)相手に、CWで小差の稽古を消化。エピファネイアの仔は、元気に生真面目に走る仔が多いね。
いざ実戦でも、鞍上の指示に素直に反応、逃げ馬を見ながらいつでもスパートできる態勢。重馬場条件下で、上がり3Fのレースラップは11秒7-11秒3-12秒3。2秒以上は時計のかかる馬場差を考慮すると、1分37秒2というタイムもマズマズ。時計勝負に宿題を残すが、常に全力疾走の頑張り屋。【評価C/適性・芝1400〜1600m】
■ゼンノジャスタ(牡・ジャスタウェイ×ウインアンジェラス)
30日(日):中京6R・新馬/芝1400m/1分24秒2
主戦の田中健Jが手綱を握り、調教に3度騎乗。浅見厩舎の本追い切りは日曜日、坂路で52秒4を追い、直前はゲートが通例。
「出していく」という約束事ができていたのだろう、気合をつけ先団へ。重馬場で1000m通過・59秒5はかなり速い。なるほど、ラスト3Fのレースラップは12秒1-11秒6-13秒1。ラストは消耗戦のようなラップになってしまったが、ゴール前でもうひと粘り。1分24秒2も、この馬場なら上等。
ただ、高速馬場適性だけはなんともいえない。距離は延ばすか縮めるか。そこも思案のしどころ。雨競馬は簡単に断は下せないね。【評価C/適性・芝1400m】
■コンドゥクシオン(牡・ダイワメジャー×アドマイヤハッピー)
30日(日):福島5R・新馬/芝1800m/1分53秒8
牝系の大本はダイナカール。母は4勝、半兄ウォータクティクス(父ウォーエンブレム)は、アンタレスS勝ち。カール一族でもパワー系。ダイワメジャー産駒の本馬も496キロ。
不良馬場で、みんなおっかなびっくり。1000m通過は64秒8、しかし先陣を争う二頭と後続は差が縮まるどころか。直線半ば、先を行く二頭で勝負あり、最後はコンドゥクシオンが体力で寄り切り。
トレセン入りして時計は3本(それも強め)。天栄など経由してきたノーザンF育成馬なのは知っていたが、1本追い切りが少ないかな? パドックでも太く見せていただけに、良化の余地は十分。時計勝負、次が正念場。【評価D/適性・芝1800m】
■イーサンティラノ(牡・ローレルゲレイロ×ブラックウィッチ)
30日(日):函館5R・新馬/芝1200m/1分11秒4
6頭立て、他馬が道悪を気にしている間に自然と先頭へ。2着を3〜4馬身と離しながら、淡々と11秒台のラップを刻みこむ。やや頭の高い走り、ハミの取り方は父ローレルゲレイロに似ている。後半3Fも前進姿勢を保ち、2着馬の急追を半馬身差封じ込めた。
初戦からチークピーシーズ装着、父同様やはり勝負手は先手。発表は稍重ながら、かなり水分の多い馬場ではあるが、そこを考慮しても1分11秒4は若干平凡。【評価E/適性・芝1200m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)