豊作の七夕週にアドマイヤマーズそっくりの桜花賞有力馬が!/丹下日出夫
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は、丹下氏も“豊作”と高評価で粒ぞろいの若駒たちが続々と! 中京では桜花賞を、函館では父オルフェーヴル越え!?を意識させる若駒など、早くも今後に期待を寄せる6頭を取り上げます。世代初重賞となる函館2歳Sも近づいていくなか、熱量を増していく2歳戦から目が離せません。(※評価はS〜Eの6段階)
■シャレード(牝・ダイワメジャー×ヴィヤダーナ)
6日(土):中京5R・新馬/芝1400m/1分22秒5
全兄のダノンメジャーは6勝(京都2歳S2着)。鞍上の福永Jも、調教で4回またがっていた。全妹の走りのイメージは、血統からも、だいたいつかめていたように思う。
1000m通過・58秒8というタフなペースにも、あわてず騒がず。ちょっとだけ、「行かなきゃいけないんですか?」みたいな、反抗的なところもあったけれど、アレコレ思案しながらも、11秒5-11秒6-12秒1(3Fは35秒2)というレースラップを、34秒9でひと差し。最後は手綱を抑える余裕もあり、後続には3馬身半、重馬場で1分22秒5は立派です。
首の長さや重心の位置が、牝馬のぶん少し異なるものの、栗毛の肌合いやファイティングポーズは、昨年の中京マイルで新馬勝ちを決めた、あのアドマイヤマーズに瓜二つ。ピッカピカの桜花賞有力馬の誕生です。【評価A/適正・芝1400〜1600m】
■ケープコッド(牡・ダイワメジャー×ハーロンベイ)
6日(土):函館1R・未勝利/芝1200m/1分9秒9
母ハーロンベイは、ダート1200mをベースに11戦4勝。キャリア浅くして引退したが、無事だったら交流重賞の一つや二つはいけたかもしれない。
父はダイワメジャー、母の特性を譲り受けたのならスピード系。全身に隙のない、好馬体の持ち主。
ゲート前で、少しウカウカっとするところがあり、ダッシュはそれほど速くはない。新馬戦2着は、その隙をつかれたか。ただし走破タイムは稍重で1分9秒8と、馬場差を差し引きすれば、今開催ピカイチだった。
相手関係もあり、二戦目は流す感じで1分9秒9。もし出走がかなえば、函館2歳Sは面白い。
ダイワメジャー産駒にしては、首も比較的使え、後肢の踏む込みもガツンと入る。距離も1Fは融通は利く。
ちなみに、土曜日の2歳新馬のプリンスリターンの決勝タイムは1分10秒6。同日同舞台で行われた3歳未勝利クラスでは、激戦の中での1分9秒9だった。【評価B/適正・芝1200〜1400m】
■マイラプソディ(牡・ハーツクライ×テディーズプロミス)
7日(日):中京5R・新馬/芝2000m/2分6秒0
母は北米11勝(GI・ラブレアS勝ち)。まだ後肢が入りきらない、いくぶん緩い造り。加えて、前半1000m通過は65秒7のスロー。ただ、上がり勝負は織り込み済みなのだろう。変に急がせたりせず、大きな構えで、直線を向きエンジンが回り始めるのを待ち、12秒0-11秒3-11秒2(3Fは34秒5)というレースラップを34秒0で串刺し。11秒を切る加速ラップでグングン伸びてきた。
レース評価としたが、才能はAの上。あの豪快なフィニッシュは、なにがしかの中距離重賞タイトルホルダーを予感させるねと、テレビ前でつぶやいた人多し。【評価B/適性・芝2000m 】
■フジマサリアル(牝・リアルインパクト×メジロヒラリー)
6日(土)福島5R:新馬・芝1800m/1分50秒8
2代母はメジロドーベルと、母の父エルコンドルパサーがミックス。四肢も長く骨格の大きい、504キロの牝馬。新種牡馬リアルインパクト産駒は6月からけっこう見てきたし、勝った馬も、このコラムで数頭とりあげましたが、背中も胴回りも長い、これまでの同産駒とは、ちょっとスケールも距離適性など違うかなあ?。
1000m通過は62秒6のスローを、気が付いたら好位のポケット。ラスト4F目から12秒1とピッチが上がったことろで、3コーナーから少し押していったが、11秒8-12秒2-12秒1(36秒1)というレースラップを35秒9で、直線半ばから胸を張るようにしてひと伸び。
1分50秒8というタイムも、終わってみれば良質。馬体もまだ絞れる。桜花賞ロードか、オークスロードか。距離選択も楽しい、健康な牝馬ですね。【評価C/適性・芝1800m】
■エヴァーガーデン(牝・アイルハヴアナザー×モエレカトリーナ)
7日(日):福島5R・新馬/芝2000m/2分5秒0
母は道営育ち、中央に転入して、3歳秋・中山の紫苑S勝ち。おお。次は秋華賞かぁ〜と思ったら、そこで引退。まことに残念。
「コスモ」の冠のつく馬だけあって、仕上がりは万全。1000m通過64秒のスローにもバタバタせず、好位から一番最初に勝機を見出す。上がりも走破タイムもやや平凡、次走が大事になってくるが、福島とはいえ牡馬相手の10Fを競り勝った経験は、すぐ近い将来のどこかで2勝目につながる。【評価D/適性・芝1800m】
■オーソリティ(牡・オルフェーヴル×ロザリンド)
7日(日):函館5R・新馬/芝1800m/1分54秒9
あれ? オルフェーヴルの仔にしては、ミョーに頭がデカい。胸前が発達し、四肢や背中のラインが、これまでみて来たオルフェの仔たちと、かなり異質。かといって、母系のシーザリオのラインか? 2代母の父スペシャルウィークが出ているかといわれると、それも正解ではないような気がする。
だからこそ、これまでのオルフェ産駒概念を超える、ついでに父超えもある? 65秒9のスローに一瞬だけ頭を上げ、口の周りを泡で真っ白にし、直線入り口で暴走しかけたりしたが(笑)、12秒3-11秒5-11秒9(3Fは35秒7)というレースラップに対し、自身のソレは35秒4。湿った洋芝で11秒前半の連続ラップは、オープン特別くらいは、2戦以内にもう一丁いける計算。
東京・中山・京都などで、11秒台の連続ラップが出せれば、一気に皐月賞レベルに昇華。【評価B/適性・芝1800m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)
2019年7月8日(月)
【丹下日出夫のPOG手帖】『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今回は、丹下氏も“豊作”と高評価で粒ぞろいの若駒たちが続々と! 中京では桜花賞を、函館では父オルフェーヴル越え!?を意識させる若駒など、早くも今後に期待を寄せる6頭を取り上げます。世代初重賞となる函館2歳Sも近づいていくなか、熱量を増していく2歳戦から目が離せません。(※評価はS〜Eの6段階)
■シャレード(牝・ダイワメジャー×ヴィヤダーナ)
6日(土):中京5R・新馬/芝1400m/1分22秒5
全兄のダノンメジャーは6勝(京都2歳S2着)。鞍上の福永Jも、調教で4回またがっていた。全妹の走りのイメージは、血統からも、だいたいつかめていたように思う。
1000m通過・58秒8というタフなペースにも、あわてず騒がず。ちょっとだけ、「行かなきゃいけないんですか?」みたいな、反抗的なところもあったけれど、アレコレ思案しながらも、11秒5-11秒6-12秒1(3Fは35秒2)というレースラップを、34秒9でひと差し。最後は手綱を抑える余裕もあり、後続には3馬身半、重馬場で1分22秒5は立派です。
首の長さや重心の位置が、牝馬のぶん少し異なるものの、栗毛の肌合いやファイティングポーズは、昨年の中京マイルで新馬勝ちを決めた、あのアドマイヤマーズに瓜二つ。ピッカピカの桜花賞有力馬の誕生です。【評価A/適正・芝1400〜1600m】
■ケープコッド(牡・ダイワメジャー×ハーロンベイ)
6日(土):函館1R・未勝利/芝1200m/1分9秒9
母ハーロンベイは、ダート1200mをベースに11戦4勝。キャリア浅くして引退したが、無事だったら交流重賞の一つや二つはいけたかもしれない。
父はダイワメジャー、母の特性を譲り受けたのならスピード系。全身に隙のない、好馬体の持ち主。
ゲート前で、少しウカウカっとするところがあり、ダッシュはそれほど速くはない。新馬戦2着は、その隙をつかれたか。ただし走破タイムは稍重で1分9秒8と、馬場差を差し引きすれば、今開催ピカイチだった。
相手関係もあり、二戦目は流す感じで1分9秒9。もし出走がかなえば、函館2歳Sは面白い。
ダイワメジャー産駒にしては、首も比較的使え、後肢の踏む込みもガツンと入る。距離も1Fは融通は利く。
ちなみに、土曜日の2歳新馬のプリンスリターンの決勝タイムは1分10秒6。同日同舞台で行われた3歳未勝利クラスでは、激戦の中での1分9秒9だった。【評価B/適正・芝1200〜1400m】
■マイラプソディ(牡・ハーツクライ×テディーズプロミス)
7日(日):中京5R・新馬/芝2000m/2分6秒0
母は北米11勝(GI・ラブレアS勝ち)。まだ後肢が入りきらない、いくぶん緩い造り。加えて、前半1000m通過は65秒7のスロー。ただ、上がり勝負は織り込み済みなのだろう。変に急がせたりせず、大きな構えで、直線を向きエンジンが回り始めるのを待ち、12秒0-11秒3-11秒2(3Fは34秒5)というレースラップを34秒0で串刺し。11秒を切る加速ラップでグングン伸びてきた。
レース評価としたが、才能はAの上。あの豪快なフィニッシュは、なにがしかの中距離重賞タイトルホルダーを予感させるねと、テレビ前でつぶやいた人多し。【評価B/適性・芝2000m 】
■フジマサリアル(牝・リアルインパクト×メジロヒラリー)
6日(土)福島5R:新馬・芝1800m/1分50秒8
2代母はメジロドーベルと、母の父エルコンドルパサーがミックス。四肢も長く骨格の大きい、504キロの牝馬。新種牡馬リアルインパクト産駒は6月からけっこう見てきたし、勝った馬も、このコラムで数頭とりあげましたが、背中も胴回りも長い、これまでの同産駒とは、ちょっとスケールも距離適性など違うかなあ?。
1000m通過は62秒6のスローを、気が付いたら好位のポケット。ラスト4F目から12秒1とピッチが上がったことろで、3コーナーから少し押していったが、11秒8-12秒2-12秒1(36秒1)というレースラップを35秒9で、直線半ばから胸を張るようにしてひと伸び。
1分50秒8というタイムも、終わってみれば良質。馬体もまだ絞れる。桜花賞ロードか、オークスロードか。距離選択も楽しい、健康な牝馬ですね。【評価C/適性・芝1800m】
■エヴァーガーデン(牝・アイルハヴアナザー×モエレカトリーナ)
7日(日):福島5R・新馬/芝2000m/2分5秒0
母は道営育ち、中央に転入して、3歳秋・中山の紫苑S勝ち。おお。次は秋華賞かぁ〜と思ったら、そこで引退。まことに残念。
「コスモ」の冠のつく馬だけあって、仕上がりは万全。1000m通過64秒のスローにもバタバタせず、好位から一番最初に勝機を見出す。上がりも走破タイムもやや平凡、次走が大事になってくるが、福島とはいえ牡馬相手の10Fを競り勝った経験は、すぐ近い将来のどこかで2勝目につながる。【評価D/適性・芝1800m】
■オーソリティ(牡・オルフェーヴル×ロザリンド)
7日(日):函館5R・新馬/芝1800m/1分54秒9
あれ? オルフェーヴルの仔にしては、ミョーに頭がデカい。胸前が発達し、四肢や背中のラインが、これまでみて来たオルフェの仔たちと、かなり異質。かといって、母系のシーザリオのラインか? 2代母の父スペシャルウィークが出ているかといわれると、それも正解ではないような気がする。
だからこそ、これまでのオルフェ産駒概念を超える、ついでに父超えもある? 65秒9のスローに一瞬だけ頭を上げ、口の周りを泡で真っ白にし、直線入り口で暴走しかけたりしたが(笑)、12秒3-11秒5-11秒9(3Fは35秒7)というレースラップに対し、自身のソレは35秒4。湿った洋芝で11秒前半の連続ラップは、オープン特別くらいは、2戦以内にもう一丁いける計算。
東京・中山・京都などで、11秒台の連続ラップが出せれば、一気に皐月賞レベルに昇華。【評価B/適性・芝1800m】
(文中敬称略・監修:丹下日出夫)