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アドマイヤマーズの影に隠れたNHKマイル有力候補を発見!/丹下日出夫

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今週の筆頭はもちろん朝日杯FSを制したアドマイヤマーズ…だけじゃない!その影に隠れたA評価馬が登場。丹下が半年も先のNHKマイルCに胸躍らせ、「重賞マイラー予備軍」と評す馬の名は?(※評価はS〜Eの6段階)


■アドマイヤマーズ(牡2・ダイワメジャー×ヴィアメディチ)

16日(日):阪神11R・阪神JF(GI)/芝1600m/1分33秒9(良)

 「マーズ」と名付けられた栗毛が躍動した。

 シルエットはダイワメジャー。しかし、産駒にありがちな単調な前腕駆動ではない。首の上下・左右の動きにリズムがあり、後肢の送りは深い。ピッチが上がると、一段ぐっと完歩が大きくなる。

「毛色はメジャーだけど、お父さんとは違うよ」という、M.デムーロのコメントは、このフォームのことを語っているのだろう。

 ギアチェンジに若干時間がかかるぶん、瞬発力勝負型に迫られるシーンもあったが、エンジンさえかかれば、新馬戦もデイリー杯も10秒台のラップを具体的な数字で計測していた。

 今日はスロー、グランアレグリアは二番手。ライバルの動きを見逃すはずはなく、呼吸や脚色をうかがいつつ3番手。後半4F・11秒8とレースピッチが上がるところを、ジンワリと加速。直線手前の3F・11秒3と上がったところで、踏み負けないよう勢いをつけ、ラスト2Fは11秒2-11秒9。レースの上りが34秒4に対し、自身のソレは33秒9。小雨交じりの曇天下の中、時計は1分33秒9。記録とすれば先週の阪神JFよりわずか0秒1速いだけに映るが、着差や後半4Fのラップ形態を見ると、レース内容はむしろこちらが上。阪神マイルでこの上りが出せるのなら、中山ならば1〜2F延長は大丈夫。春はしっかり、みんなでまず、皐月賞を論じよう。

 3着に敗れたグランアレグリアは好発馬。二番手でタイトに4コーナーを回り、ルメール・モードに入ったかに思えたが、アドマイヤマーズの加速や、並びかけてくる気配が想像より一瞬早く、なぜか身がすくんでしまい、いつもの伸び伸びとしたフォームを失ってしまった。

 初の右回り、内にモタれた。しかし、調教だけでは、それは読み切れなかった。精神的な部分もあったかな? アーモンドアイとは形状が違うが、賢く大きな目。小造りなマイラーが多かった中、馬体のラインは際立っていたように思う…。【評価A/適性・芝1600m】


■ブリッツアウェイ(牝2・ディープインパクト×スウィフトテンパー)

15日(土):阪神3R・2歳未勝利/芝1600m/1分35秒1(良)

 母はGI・ラフィアンS勝ち、北米で6勝。一番仔スウィフトレイドは現4勝。440kgという体重以上に大きく見せ、パドックの周回もレース運びも堂々。前半1000mは59秒9、ラスト3Fから10秒9に急加速し、12秒1-12秒2(3Fは35秒2)という難しい流れを34秒8で差し切り勝ち。フワフワとしながらでも、1分35秒1という好タイムでまとめた。桜花賞ロードの掲示板に顔を見せてくる。【評価C/適性・芝1600m】


■ヒシイグアス(牡2・ハーツクライ×ラリズ)

15日(土):中山7R・2歳未勝利/芝2000m/2分1秒5(良)

 母はアルゼンチンで全9勝、GIII・2勝(GI・2着1回)。初仔ミッキーシーガル(父ネオユニヴァース)は3勝、二番仔スミレ(父ダイワメジャー)は、現役4勝。配合種牡馬の特性をよく引き出す良質繁殖。本馬は、これぞハーツクライ、艶々の青鹿毛。若い時分の同産駒は馬体は薄め。少しチャカつくところなども遺伝しているけれど、それでもデビュー戦よりは煩さはなし。ただ、1000m通過は61秒3のスローの中団。このままだと折り合いも欠き身動きが取れなくなる。そこの決断の早さこそがルメール。

 1000m通過時点から11秒6-11秒7に一気にピッチを上げ先頭に迫り二番手に構え、直線二の脚を使って2分1秒5。先週の葉牡丹賞・1分59秒6のレコードと比べると、後々の立ち位置の扱いなど、いろいろ考えることも出てくるが、週中の雨で、全般的に先週より上り3Fは少し時計がかかっていた。【評価C/適性・芝2000m】


■ダノンキングリー(牡2・ディープインパクト×マイグッドネス)

15日(土):中山9R・ひいらぎ賞(500万下)/芝1600m/1分33秒7(良)

 半兄のダノンレジェンド(父マッチョウノ)は、交流GI・JBCスプリントなど全14勝。父がディープインパクトに替わり、兄以上に距離や芝などいろいろ可能性は高い。

 スタートは一斉、しかし11秒前半のハイラップが続き、なかなか流れとポジションが定まらない。1000m通過57秒7で展開、位置取りはジンワリ中団。4角は馬なりで外へ。これが戸崎の本来のリズムだよね。直線半ばまで追い出しを待つ余裕、レース上りが36秒1に対し、自身のソレは35秒5。ラスト1〜2Fは11秒台で締めくくり、終わってみれば当該2歳レコードに0秒3と迫る1分33秒7を計測。

 パドックの仕草も、のんびり。改めていい馬だなとは思って見ていたが、この走破タイムには正直ビックリ。中山マイルなら、たとえば年明けはジュニアCやニュージーランドT―― 来春のNHKマイルCを語りたい、重賞マイラー予備軍。【評価A/芝1600m】


■ミッキーブリランテ(牡2・ディープブリランテ×エピックラヴ)

16日(日):阪神4R・2歳未勝利/芝1800m/1分48秒0(良)

 一昨年のセレクト当歳セールで、「これは掘り出しもの。真剣に勝負しよう」―― 近しい零細馬主と、3千万を上限に設定し、ぴょこぴょこと手をあげてみたが、軽く5千万円を突破。落札者を見れば、ミッキーさん。いい馬は、誰が見てもわかるんですね。

 母は仏2勝(GIII勝ち)。死産や不受胎が続き、本馬が初仔。デビュー戦は勝ち馬とマッチレース、上り33秒7の脚を使いながら2着に競り負けた。二戦目も道中危うく頭を上げそうになり、ヒヤリとするシーンもあったが、ラスト3Fは34秒3、後続には2馬身半。ブレは少なく、まっすぐに脚が伸びる。ディープブリランテじゃなくて、ディープインパクトみたい。

 1分48秒0も、先週二鞍あった芝1800mの時計より1秒近く速く、クラシックロードへ名乗り。ホープフルSが終わったら、2歳番付を再発表する予定ですが、番付のどこかに、必ず入れようと思っています。【評価A/適性・芝2000m】


■キングリスティア(牡2・ベルシャザール×リスティアアスリー)

16日(日):阪神5R・2歳新馬/芝2000m/2分1秒2(良)

 母の姉はエリモシック(エリザベス女王杯)、エリモピクシーと言われ、そういえばあの腰回りに見覚えがあるような。

 1000m通過は1分1秒2のスロー。あまりハイレベルな決着にはならないかもしれないと思っていたが、後半6Fから12秒3-12秒4。上り3Fは12秒0-11秒4-11秒9。決着タイムは2分1秒2と上質。馬体も構築ラップも、うーん。マンダム。しぶい、いぶし銀のような馬だなぁ。距離延長等、馬券でも楽しめます。【評価B/適性・芝2400m】


■レッドアステル(牝2・ディープインパクト×レッドエルザ)

16日(日):中山6R・2歳新馬/芝1600m/1分36秒8(良)

 発馬に気を配り、すかさず好位を意識。必勝「マーフィーの法則」、来日二日目にして早くもここが4勝目。428kgと、仕上がってもいたが、坂の頂上で完歩がワン・アクション大きくなり、後続を2馬身半余に完封。初陣からどれだけ体重を増やせるか。出世の目安はそこでしょう。【評価C/適性・芝1400m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

2018年12月17日(月)

『POGの王道』でおなじみの丹下日出夫が、ダイジェスト映像とともに週末に行われた全2歳戦のなかから、今後クラシック戦線で有力になるであろう若駒たちをピックアップしてご紹介! 今週の筆頭はもちろん朝日杯FSを制したアドマイヤマーズ…だけじゃない!その影に隠れたA評価馬が登場。丹下が半年も先のNHKマイルCに胸躍らせ、「重賞マイラー予備軍」と評す馬の名は?(※評価はS〜Eの6段階)


■アドマイヤマーズ(牡2・ダイワメジャー×ヴィアメディチ)

16日(日):阪神11R・阪神JF(GI)/芝1600m/1分33秒9(良)

 「マーズ」と名付けられた栗毛が躍動した。

 シルエットはダイワメジャー。しかし、産駒にありがちな単調な前腕駆動ではない。首の上下・左右の動きにリズムがあり、後肢の送りは深い。ピッチが上がると、一段ぐっと完歩が大きくなる。

「毛色はメジャーだけど、お父さんとは違うよ」という、M.デムーロのコメントは、このフォームのことを語っているのだろう。

 ギアチェンジに若干時間がかかるぶん、瞬発力勝負型に迫られるシーンもあったが、エンジンさえかかれば、新馬戦もデイリー杯も10秒台のラップを具体的な数字で計測していた。

 今日はスロー、グランアレグリアは二番手。ライバルの動きを見逃すはずはなく、呼吸や脚色をうかがいつつ3番手。後半4F・11秒8とレースピッチが上がるところを、ジンワリと加速。直線手前の3F・11秒3と上がったところで、踏み負けないよう勢いをつけ、ラスト2Fは11秒2-11秒9。レースの上りが34秒4に対し、自身のソレは33秒9。小雨交じりの曇天下の中、時計は1分33秒9。記録とすれば先週の阪神JFよりわずか0秒1速いだけに映るが、着差や後半4Fのラップ形態を見ると、レース内容はむしろこちらが上。阪神マイルでこの上りが出せるのなら、中山ならば1〜2F延長は大丈夫。春はしっかり、みんなでまず、皐月賞を論じよう。

 3着に敗れたグランアレグリアは好発馬。二番手でタイトに4コーナーを回り、ルメール・モードに入ったかに思えたが、アドマイヤマーズの加速や、並びかけてくる気配が想像より一瞬早く、なぜか身がすくんでしまい、いつもの伸び伸びとしたフォームを失ってしまった。

 初の右回り、内にモタれた。しかし、調教だけでは、それは読み切れなかった。精神的な部分もあったかな? アーモンドアイとは形状が違うが、賢く大きな目。小造りなマイラーが多かった中、馬体のラインは際立っていたように思う…。【評価A/適性・芝1600m】


■ブリッツアウェイ(牝2・ディープインパクト×スウィフトテンパー)

15日(土):阪神3R・2歳未勝利/芝1600m/1分35秒1(良)

 母はGI・ラフィアンS勝ち、北米で6勝。一番仔スウィフトレイドは現4勝。440kgという体重以上に大きく見せ、パドックの周回もレース運びも堂々。前半1000mは59秒9、ラスト3Fから10秒9に急加速し、12秒1-12秒2(3Fは35秒2)という難しい流れを34秒8で差し切り勝ち。フワフワとしながらでも、1分35秒1という好タイムでまとめた。桜花賞ロードの掲示板に顔を見せてくる。【評価C/適性・芝1600m】


■ヒシイグアス(牡2・ハーツクライ×ラリズ)

15日(土):中山7R・2歳未勝利/芝2000m/2分1秒5(良)

 母はアルゼンチンで全9勝、GIII・2勝(GI・2着1回)。初仔ミッキーシーガル(父ネオユニヴァース)は3勝、二番仔スミレ(父ダイワメジャー)は、現役4勝。配合種牡馬の特性をよく引き出す良質繁殖。本馬は、これぞハーツクライ、艶々の青鹿毛。若い時分の同産駒は馬体は薄め。少しチャカつくところなども遺伝しているけれど、それでもデビュー戦よりは煩さはなし。ただ、1000m通過は61秒3のスローの中団。このままだと折り合いも欠き身動きが取れなくなる。そこの決断の早さこそがルメール。

 1000m通過時点から11秒6-11秒7に一気にピッチを上げ先頭に迫り二番手に構え、直線二の脚を使って2分1秒5。先週の葉牡丹賞・1分59秒6のレコードと比べると、後々の立ち位置の扱いなど、いろいろ考えることも出てくるが、週中の雨で、全般的に先週より上り3Fは少し時計がかかっていた。【評価C/適性・芝2000m】


■ダノンキングリー(牡2・ディープインパクト×マイグッドネス)

15日(土):中山9R・ひいらぎ賞(500万下)/芝1600m/1分33秒7(良)

 半兄のダノンレジェンド(父マッチョウノ)は、交流GI・JBCスプリントなど全14勝。父がディープインパクトに替わり、兄以上に距離や芝などいろいろ可能性は高い。

 スタートは一斉、しかし11秒前半のハイラップが続き、なかなか流れとポジションが定まらない。1000m通過57秒7で展開、位置取りはジンワリ中団。4角は馬なりで外へ。これが戸崎の本来のリズムだよね。直線半ばまで追い出しを待つ余裕、レース上りが36秒1に対し、自身のソレは35秒5。ラスト1〜2Fは11秒台で締めくくり、終わってみれば当該2歳レコードに0秒3と迫る1分33秒7を計測。

 パドックの仕草も、のんびり。改めていい馬だなとは思って見ていたが、この走破タイムには正直ビックリ。中山マイルなら、たとえば年明けはジュニアCやニュージーランドT―― 来春のNHKマイルCを語りたい、重賞マイラー予備軍。【評価A/芝1600m】


■ミッキーブリランテ(牡2・ディープブリランテ×エピックラヴ)

16日(日):阪神4R・2歳未勝利/芝1800m/1分48秒0(良)

 一昨年のセレクト当歳セールで、「これは掘り出しもの。真剣に勝負しよう」―― 近しい零細馬主と、3千万を上限に設定し、ぴょこぴょこと手をあげてみたが、軽く5千万円を突破。落札者を見れば、ミッキーさん。いい馬は、誰が見てもわかるんですね。

 母は仏2勝(GIII勝ち)。死産や不受胎が続き、本馬が初仔。デビュー戦は勝ち馬とマッチレース、上り33秒7の脚を使いながら2着に競り負けた。二戦目も道中危うく頭を上げそうになり、ヒヤリとするシーンもあったが、ラスト3Fは34秒3、後続には2馬身半。ブレは少なく、まっすぐに脚が伸びる。ディープブリランテじゃなくて、ディープインパクトみたい。

 1分48秒0も、先週二鞍あった芝1800mの時計より1秒近く速く、クラシックロードへ名乗り。ホープフルSが終わったら、2歳番付を再発表する予定ですが、番付のどこかに、必ず入れようと思っています。【評価A/適性・芝2000m】


■キングリスティア(牡2・ベルシャザール×リスティアアスリー)

16日(日):阪神5R・2歳新馬/芝2000m/2分1秒2(良)

 母の姉はエリモシック(エリザベス女王杯)、エリモピクシーと言われ、そういえばあの腰回りに見覚えがあるような。

 1000m通過は1分1秒2のスロー。あまりハイレベルな決着にはならないかもしれないと思っていたが、後半6Fから12秒3-12秒4。上り3Fは12秒0-11秒4-11秒9。決着タイムは2分1秒2と上質。馬体も構築ラップも、うーん。マンダム。しぶい、いぶし銀のような馬だなぁ。距離延長等、馬券でも楽しめます。【評価B/適性・芝2400m】


■レッドアステル(牝2・ディープインパクト×レッドエルザ)

16日(日):中山6R・2歳新馬/芝1600m/1分36秒8(良)

 発馬に気を配り、すかさず好位を意識。必勝「マーフィーの法則」、来日二日目にして早くもここが4勝目。428kgと、仕上がってもいたが、坂の頂上で完歩がワン・アクション大きくなり、後続を2馬身半余に完封。初陣からどれだけ体重を増やせるか。出世の目安はそこでしょう。【評価C/適性・芝1400m】

(文中敬称略・監修:丹下日出夫)

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